メンブレンフィルトレーションの基礎知識

I部 ろ過の基礎知識とメンブレンフィルターによるろ過
3. MF/UF/ROメンブレンフィルターの分離の特徴
3.1  MF(精密ろ過)
1) JISの定義
◆ 「メンブレンフィルター」(membrane filter) 1) ; 「0.01〜数μm程度の微粒子及び微生物をろ過によって分離するために用いる膜」
備考:精密ろ過膜といっている。メンブレンフィルターには、MF、UF、ROのメンブレンフィルターがあるが、一般にメンブレンフィルターといった場合には、精密ろ過膜をさす。また、これまで「メンブランフィルター」という呼称が、使われてきているが、1990年にJISに「膜用語」がつくられ、最近は「メンブレンフィルター」で統一されてきている。
◆ 「精密ろ過」(microfiltration) 1) ;「0.01〜数μm程度の微粒子及び微生物をろ過によって分離する操作又はその技術」
2) メンブレンフィルターの構造の特徴
(1) 連続一体構造
ろ紙やグラスファイバーなどのいわゆるデプス型フィルター(depth filter)は材料が 断片的に圧縮あるいは固められてつくられている。一方、メンブレンフィルターは製法からみてもあきらかなように、ろ過材の構造は連続一体となっている。それゆえ、ろ過中にろ過材がはずれてろ液側に出てきてろ液を汚染させてしまう、いわゆる「 ろ過材の離脱」(media migration)は起こらない。
(2) 表面構造と表示孔径
走査型電子顕微鏡(SEM)写真でメンブレンフィルターの表面をみると、表示孔径より大きな細孔が多く存在しているのがわかる。メンブレンフィルターは、表面 にみられる層が数多く重なったものと解釈すると表示孔径との関係が理解しやすい。すなわち、表示孔径以上のサイズの物質はメンブレンフィルターの表層数μm以内で捕捉されるので、みかけの細孔径はSEM写真表面の細孔にみられるサイズよりも小さく、これを表示孔径としている。
3) 分離の特徴
図3-1は精密ろ過における物質の捕捉を示したものである。

この図からわかるとおり、精密ろ過では、微粒子や微生物はメンブレンの一次側表層部に捕捉分離され、タンパクなどの高分子物質やイオン類は二次側に通過する。
4) 膜透過理論
精密ろ過における膜透過現象は毛細管をモデルとしたHagen Poiseulleの理論式 2) での説明が一般的である。
これによれば、毛細管を流れる流体の透過流量d v/ d tはつぎの式で表せる。
d t / d v = π R4 ΔP / 8 η L
ここで、R;毛細管の内径、L;その長さ、ΔP;管の両端の圧力差、η;流体の粘度
この理論は毛細管の場合であり、精密ろ過膜の細孔構造は、より複雑なものであるが、実際にろ過実験を行ってみると、この関係式がなりたっていることがわかり、この理論はろ過流量現象を表わす目安となるといってよいであろう。
5) おもな応用(アプリケーション)
おもな応用(アプリケーション)はつぎのとおりである。詳細は第II部を参照。
(1) 分析への応用
製薬工業分野:製造用水・医薬品のバイバーデン試験
食品工業分野:ビール、ミネラルウォーターなどの微生物試験
半導体・化学工業分野:薬品類、用水の微粒子・微生物試験、汚染分析
(2) プロセスへの応用
製薬工業分野:注射用水・薬液のろ過滅菌
食品工業分野:ビール、ミネラルウォーターなどのろ過
半導体・化学工業分野:薬品類、用水のろ過精製

参考/引用文献:
1) JIS K 3802-1995 「膜用語」 (1995)
2) 岡:化学大辞典、共立出版 (1964)

 





フィルトレーションの基礎知識-目次
フィルトレーションの基礎知識-1.1 ろ過とは
フィルトレーションの基礎知識-1.2 ろ過対象物によるろ過の分類
フィルトレーションの基礎知識-1.3 代表的なろ過材とろ過対象物の大きさ
フィルトレーションの基礎知識-2.1 ろ過における分離メカニズム
フィルトレーションの基礎知識-2.2 ろ過分離メカニズムの基本
フィルトレーションの基礎知識-3.2 UF(限外ろ過)
フィルトレーションの基礎知識-3.3 RO(逆浸透ろ過)
フィルトレーションの基本用語集









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